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ひかりあういのち
光り合ういのち
倉田 百三
「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页
歌をよむにしても自分の好きなようによまなかったらどんな事になるだろう。それで好く人は好くんだ」
「処女子と人はのらせどさみしけれ神の社にみ鈴ふりつつ
この歌はどう?」
「いいね。あなたがつくったの?」
「ええ」
「待ちたまえ」と私は苦吟して、
「鈴ふりて舞いし処女子胸にもちわれの学びのたぬしくもあるか
どうですか」
「いい歌だわ」と鈴子は赤くなった。「下の句が少し硬いけれど」
私たちは逢う度び毎に親しくなり、趣味の一致を感じた。尾道で知った少女で話しの出来るのは鈴子一人であった。
私たちは歌を競った。しかしどうも鈴子の方がうまい気がした。
或る冬の日、尾道としては珍しく雪が降って、二、三寸積った。私は鈴子と二人して庭に手頃な雪達磨をつくった。
仁田さんは雪を珍しがって、雪見をすると言って酒を暖めさした。
「あんた少しいけるか」
「二、三杯はいけます」
「盃に二、三杯か。茶碗に二、三杯か」
こんな冗談を言いながら仁田さんは酒を飲み始めた。酔いがまわると機嫌がよくなった。
「鈴子ひとつ歌をつくって見せろ」
「紫にかそか匂いておもほゆる今朝の淡雪消えまく惜しも」
「ふーむ。いい歌だ。