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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

スポーツ好きの安子に誘われて、私はそれを見に行った。

雪のように白いユニフォーム。日に焼けた、単純そうな顔。選手たちは健かに美しかった。ノックの響きは夏空に快くこだました。

両軍みどろに奮闘した。応援の旗は波がしらのようにひるがえった。歓呼と斉唱。

安子は夢中になって試合を見ている。私はいつも見て来た試合が今日だけは特別に印象した。

私はスポーツと体育との美的精神に目ざめた。

試合は僅少の差で福中の勝利に帰した。

キャプテンが選手たちを率いて優勝旗を受けに進んだ時に、息を凝らしていた安子が私に言った。

「いいわね! スポーツマンあたし大好きだわ」

私も彼等の健康と気魄の美に打たれていた。けれども安子の言葉は何故かなやましく痛く私にひびいた。

僕も体を練ろう!

私はこう決心していた。母校の建物が私の目に浮んで来た。三つの川の巴を描くところ、七日市河原のグランドの清らかな姿が。

白帆会の演説。文章。学芸。――私を待っている光栄がそこにほほえんでいるのではないか。

恩師や、学友たちの顔、顔、顔。

私は学校へ帰ろう。あの山間の中学校へ!

それでは玉の浦の自然よ。