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ひかりあういのち

光り合ういのち

倉田 百三

「いのち」1937(昭和12)年2月号から連載

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,439 字 · 263 页

青空文庫

その芳正君がある日、放課後になると、

「君、おもしろいものを見せてやろうか」

とニヤニヤしながら言った。

「何だい」

「中原に石筆を一本やって御覧、尻からみみずを出して見せるよ」

私は好奇心で、道に待たしてあった中原という菓子屋の子に石筆をやった。

するとこの子は造作もなく、手をさし入れ、本当に尻から「みみず」を引き出して道の上に投げ出した。寄生虫なのだ。

「おもしろい、おもしろい」

芳正君は手をたたいて笑った。

この中原という子はあまり菓子を食べるので歯は全部味噌歯になってしまっていた。

そうした節制のない家庭だから、その姉さんたちは赤いしごきを〆めて、三味線の稽古本など持って、遊芸を習いに通ったりしていたが、遂に家はつぶれ、私の中学時代にその姉さんは三次の料亭に芸者に売られた。左褄をとったその人に私は時々出遇い、さそいをかけられたが、美しくなくはないが、どこかだらしないその人には近づく気がしなかった。

こうして庄原の町筋に店を張っていた家がつぶれて行くのを幾つも見た。町が小さいので、一軒毎に皆知ってるのだ。

百木という宿屋があった。その家にお仲さんというおとなしい、夢見るような女の子がいた。