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きょうやくかいてんだん

共軛回転弾

海野 十三

――金博士シリーズ・11――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,359 字 · 21 页

青空文庫

どうぞその代り、博士が今お手持ちの発明兵器で、世界一なるものを余にお譲りねがいたい。そこに大英帝国の最後の機会がぶら下って居るというわけでしてな、どうぞ御同情を賜りたい。いかがですな、目下お手持の発明兵器で世界一と思召すものは……」

「ふむ、ふむ、ふむ」

博士は、猫が魚のあらと取組んでいるように只呻るばかりである。カンガルーの燻製が、悉く博士の胃袋に収るまでは、まず何にも言わないつもりらしい。

こんなわけで、早いところ餌をもって押掛けたチーア卿の早業は、街頭を血眼になって金博士の姿を探し求めているルーズベルトの男女特使を、今も尚失望させている。

「まだ現れんね」

「どうしたんでしょうか。居ないわけはないんですけれどね」

地下二百尺の金博士の部屋では、今や博士は大きな逆吃をたて始めた。

「ひっく。ひっく。ああ、うまかった。久しぶりじゃったからのう。ひっく、ひっく。どりゃすこし睡るとしよう」

遠慮を知らぬ金博士のことであるから、あわてるチーア卿を相手にせず、ごろりと横になると、早ぐうぐうと大鼾。

「もしもし博士、喰い逃げとは、そりゃひどい……」

と、卿は立上って博士をゆすぶり起そうとしたが、待てしばし。