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きょうやくかいてんだん

共軛回転弾

海野 十三

――金博士シリーズ・11――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,359 字 · 21 页

青空文庫

ここで無理に起して、臍まがりの博士に又えらく臍をまげられては特使の目的を達することは出来ないと、苦しい我慢を張る。したがチーア卿とて只の鼠ではない。幸いあたりに睡る博士の外に人はなし、秘密の研究室は自分の外に人眼というものがない。この機会に乗じて、金博士の最近の発明兵器を調べておいてやろうと、たちまちチーア卿は先祖から継承の海賊眼を炯々と輝かし、そこらをごそごそやりだしたことである。

おどろいたことに、部屋の扉はみんな鍵がかかっていない。だからどの部屋へも入れた。金博士の実験室は、あまりにも雑然としていて、どれが研究の主体だか分らない。すばらしい毒瓦斯製造装置だと思って、たかの知れたキップの水素瓦斯発生装置を持って帰って笑われても詰らないと思ったチーア卿は、実験室には手をつけないことにして、更に次の部屋へ。

次の部屋は模型室だった。四方の壁に棚が吊ってあって、その上に博士の発明になる新兵器の模型の数々が、まるで玩具屋の店頭よろしくの光景を呈して並んでいた。それを一つ一つ見ていく卿は、溜息のつきどおしだ。それというのがどれもこれも垂涎三千丈の価値あるものばかり。