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ふたたびかがくてきせいしんについて

再び科学的精神について

戸坂 潤

(「最近日本の科学論」続編)――教学に対して――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,742 字 · 23 页

青空文庫

私はまえに「科学的精神とは何か」という文章を書いた。之は決して科学的精神全般について述べたものではなかったが、又決してその瑣末な一部分について述べたものでもなかった。そこに論じた事柄こそ、今日に於ける科学的精神の核心に触れる時局的要点であると信じたのである。そして文学主義と文献学主義との批判が之であった。

問題は主に社会科学乃至文化理論に連関する。自然科学に就いてはあまり触れなかった。だがこのことは、或る人達が考えるように、決して片手落ちでもなければ、又具体的でなかったのでもない。なぜ片手落ちでないかと云えば、今日科学的精神が話題として社会的に重大意義のあるのは、必ずしも自然科学的思考の世界に於てでもなく、まして自然科学者の専門世界に於てでもないからだ。そういう個処に於て科学的精神が問題になり得るのも、実はそれが社会科学・哲学・乃至文化理論と直接に連関するものとして、或いはそういう資格を取ることによって、初めて可能なことなのであるから、科学的精神は、正に社会的関心と結びついて初めて、重大な現実味のある問題となるのである。吾々が「科学精神」と云わずに、特に科学的精神と呼ぶ所以の一つもそこにあるのであって、この精神は決して科学だけの精神でもなく、まして自然科学だけの精神でもないのだ。