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ふゆのやま
冬の山
木暮 理太郎
「旅」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,733 字 · 8 页
然しスキーのみが雪中登山の唯一の道具という訳のものでもない、在来の輪カンジキと金カンジキとがあれば、スキーで登れる所ならば先ず何処へでも登れる。トリコニーとかクリンカーとかいう釘を打った登山靴でなくても、藁で造った雪靴で寒さを凌げぬことはないのである。雪中に野営するような高い山へ登るのでなければ、これで結構間に合って行く。唯多くの場合に於て、行動が著しく敏活を欠くことを免れない。従って新時代の嗜好に適しないのは是非もない。
山を展望しているだけでは物足りない、少しは奥へ入って峠の一つも踰えて見たいという程度ならば、防寒具も特別に用意する必要を認めぬ、一度踏み出して見れば、火鉢に暖りながら考えていた程の苦労はないものである。尤も二千米前後の山であれば案内者を要するが、さもなくて単独旅行でない限り必ず案内者を伴うにも及ばないであろう。
十二月から一月、若しくは二月にかけての降りたての雪であると、表面がまだ凍結しないので、一歩毎に踏み入るものである、かようにして一尺以上の雪の中を辿ることはスキーを着けていても輪カンジキを穿いていても、楽な仕事とは言い兼ねる。