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ふゆをこすつぼみ
冬を越す蕾
宮本 百合子
「文芸」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,898 字 · 14 页
あのようにいい頭といわれる頭をもっていて、自分たちが、転向するようになった気持が自分にもよく分らないといってそれを押すのは、事情もあろうがなぜなのであろう。私には杉山氏のように皮肉にだけ思うことができない。細いこと、筋のとおったことは分らないが、とにかく〔五字伏字〕(復元不可能)得だという点だけには悟りが早かったのだという意地わるい言葉が通用するであろうか? 私はくちおしい気がするのである。
谷崎潤一郎氏が「春琴抄」を書いて、世評高かった頃、その作品を読み、私はある人から見たらおそらく野蛮だといわれるであろう一つの考えにとらわれた。それは、谷崎氏のように精力的作家でも、日本の作家は初老前後となれば落ちつくさきはやっぱりここかという失望である。
佐藤春夫氏、谷崎潤一郎氏は深いきずなによって結ばれている二人の作家であるが、作家としての性質は違った二つのものであると思っていた。谷崎氏が日本文学に構成力が薄弱であることを不満とし、自身の抱負を文章によって述べていた頃の脂のきつい押し、あるいは、初期の作品が内包していた旺盛な生活力と「春琴抄」が示しているいわゆる完成の本質とをくらべて見て、私は大谷崎という名で呼ばれる一人のすぐれた作家でさえ、文学の手法や傾向をとおして支配している日本の封建制の根強さに、新たな反省