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ふゆをこすつぼみ

冬を越す蕾

宮本 百合子

「文芸」1934(昭和9)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,898 字 · 14 页

青空文庫

けれども私は、杉山氏のように「村山はそんな立派な人物ではなかったから止むを得ない」という風にいっただけでは十分自身にむかって満足できかねるのである。

「白夜」は、作者が客観的情勢の否定的暗さとともに自身の暗さを摘出しようと試みた点で、ある評価をうけた。それゆえ、「再出発」についての文章の中でも、村山は知ってか知らずか、特に自身の曝露ということを強く云っているらしく思われるけれども、個人的な性格解剖の限度内で、いかほど自身の暗さを露出しても、プロレタリア文学の大局に、はたしていくばくのプラスであろうか。更に進んでよしんば、自身の弱点のすべてを、インテリゲンチアの小市民性によるものと結論し糺弾したとしても、現実の本質はつかまれたという感じを、私たちに与えないであろうと思う。

私たちの切に知りたいのは、性格にそのような動揺する暗さ明るさをもったインテリゲンチアの一団がその青年期のあるときにいろいろの矛盾を背負ったまま階級的移行をしたのは、歴史的にどのような必然によるものであったのか。そして、それから十年にわたる彼らの活動は、どんな歴史的特色をもっていたが故に、今日の困難な情勢の下に彼らが挫折しなければならないように、その内的矛盾を激化したのか。