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はつこい

初恋

矢崎 嵯峨の舎

「都の花」1889(明治22)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,226 字 · 39 页

青空文庫

それに田舎者はどれほど容貌が美しくても、どれほど身装が立派であッても、かの一種言いがたき意気というか、しなやかというか、風流というか? かの一種たおやかな風を欠くものであるが、娘はその風をも備えていた。清水の叔父は自分の父の弟で、祖母には第二番目の子だ、それゆえ娘は自分と同じように祖母の孫で、しかも最愛の孫であッたそうな。その夜一同客座敷へ集まッて四方山の話を始めたが、いずれも肉身の寄合いであるから誰に遠慮ということもなくその話と言ッては藩中のありさま、江戸の話、親類知己の身の上話、またはてんでんの小児の噂などで、さのみ面白い話でもないが、しかしその中には肉身の情と骨肉の愛とが現われていて、歎息することもあれば、口を開いて大笑いをすることもあッて近ごろ珍らしい楽しみであッた。祖母はお雪やここへというような風に、目つきで娘を傍へ招いて、いろいろなことを尋ねたり語ッたりしていたが,その声の中には最愛可愛という意味の声が絶えず響いていたように思われた,そして祖母は娘が少さかッた時のように今もなお抱いたり、撫でたり、さすッたりしたいという風で、始終娘の貌をにこにことさも楽しそうに見ていたが,娘も今は十八の立派な娘ゆえ、さすがにそうもなりかねたか、ただ肩に手を掛けて,「ほんに立派な娘におなりだの」