轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくこく
刻々
宮本 百合子
「中央公論」1951(昭和26)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页
「何をさ」
「何って!」
さもじれったそうに眉をしかめた。
「もう二人も白状しちまったそうじゃないか。お前が出したものは出したと云って、あやまりさえすればすぐ帰すって、警視庁の人が云っているんじゃないか!」
顔は熱いまんま、腹の底から顫えが起って来た。
「そんなことを云いに来たの?」
「そんな恐ろしい顔をして……マァ考えて御覧……」
「…………」
愈々声をひそめ、力をこめ、
「その方がお身のためだって、むこうから云っているんじゃないか! それをお前……」
動物的な憎悪が両手の平までこみあげて来て自分はおろおろしているような、卑屈を確信と感違いしているような母親の顔から眼をはなすことが出来なくなった。
自分は、一言一言で母親を木偶につかっている権力の喉を締めるように、
「私は、金なんぞ、だ、し、て、はいない」
と云った。
「わかったこと? 私は、だ、し、てはいないのよ」
母親のそばへずっとよって、耳元で云った。
「おっかさんが今何の役をさせられているか分る? ス・パ・イ・よ。むこうは、わけの分らない、只うまく立廻ろうとしている親をそういう風に利用しているのよ。しっかりして頂戴、たのむから……」