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べんきょうき
勉強記
「文体 第二巻第五号(五月増大号)」1939(昭和14)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,952 字 · 36 页
即ち、肉体は常に温顔をたたえ、さながら春の風、梅花咲くあのやわらかな春風をたたえていらっしゃる。そうして、お別れしてしまうまで、肉体の温顔が、ただ、目の前いっぱいに立ちふさがっているのである。そうして、肉体の温顔が、ニコニコと、きさくに語って下さるのである。ナニ、美女もただの白骨でな、と、肉体の温顔がニコニコと仰有る。又、あるときは、これを逆に、イヤ、ナニ、美女のやわらかい肉感というものは、あれも亦よろしいものじゃヨ、と、こう仰有って大変無邪気にたのしそうにニコニコとお笑いになり、あれにふれるとホンマに長生きするのでのう、と仰有るのである。
これと同じ意味のことは長屋の八さんが年中喋っているのであった。けれども、長屋の八さんはてんで悟りをひらかないから、八さんがこんなことを喋る時のだらしない目尻といったら洵に言語道断である。実にだらしなく相好くずしてヘッヘッヘとおでこを叩き、忽ち膝を組み直したりするけれども、八さんの話をきいていると、八さんの肉体などはてんで意識にのぼらない。こっちも忽ちニヤニヤして八さん以上に相好くずして坐りなおしてしまうのである。