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ちはやかんのめいろ
千早館の迷路
海野 十三
「ロック 増刊 探偵小説傑作選」1947(昭和22)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,829 字 · 50 页
早くいえば、私は子爵の本家筋にあたる池上侯爵家からの秘密なる依頼で、田鶴子には気付かれないように、秘密裡に彼女を調べたのです。私は常に黒幕のうしろに居り、田鶴子には婦人探偵の錚々たるところの数名を当らせたんです。要点は、池上侯爵家からの依嘱により、“もしや四方木田鶴子があの雪山で古神子爵を雪崩の中に突き落としたのではないか”を明らかにするためだったのです」
「まあ、なんという恐ろしいお話でしょう」
春部は自分の両肩をしっかり抱きしめて、身ぶるいした。
「だが、その結果は、そういう嫌疑は無用だということになったんです。婦人探偵たちの一致した答申でした。そこで私はこの旨を池上侯爵家へ報告しました。それでそのことは片附いたんです。しかしその四方木田鶴子さんの姿を今年になってから突然見掛けたのでびっくりしていました。キャバレのビッグ・フォアでしたよ、実はそのときは田川君が連れていってくれたんですがね」
「わたくしもそうなんです」
「え。何がそうなんです」
「田鶴子さんに初めて紹介されたのが、ビッグ・フォアだったんです。やっぱり田川が連れていってくれたんです」
「ああ、そうですか。