轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はんのすけしゅうげん

半之助祝言

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,997 字 · 44 页

青空文庫

「あら、どうしてですの」

「それはですね、先日、御城代を美男だと申上げたときのことですが」彼はそこで臆病そうに鳩のような眼で夫人を見た。

「――あのまえは貴女のことを不躾けにみつめて、貴女からお咎めを受けました」

「ええそうでしたわ、それで?……」

「あれは、実は御城代のことを考えていたのではないのです、もちろん御城代が天下第一級の美男だということには変りはありませんが、あのとき考えていたのはべつのことなんです」

夫人は疑がわしげに頷いた。

「正直に申上げますが」半之助はひと懐っこい表情で、じっと夫人を見まもりながら、しんみりした声で言葉を継いだ。

「――私は此処へ御挨拶に伺って、初めて貴女のお姿を見たとき、いきなりお手を握るか、お膝へ縋りつくかしたくなって、頭がぐらぐらするような気持でした」

菊枝夫人の顔が赤くなり、すぐにさっと白くなった。ぶしつけにこんな告白を聞くのもまた初めてである。赤くなったのは羞恥であり、白くなったのは怒りに違いない。だが半之助は眼をうるませながら、

「それは貴女が私のいちばん好きな、私を誰よりも愛して呉れた、かけ替えのないたった一人の人にそっくりだったからです」