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はんのすけしゅうげん

半之助祝言

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1951(昭和26)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,997 字 · 44 页

青空文庫

「まあ見ていらっしゃい、あれも計略の一つですから」半之助は笑って答えた。

「――そのうちなるほどと思うときが来ますよ」

そしてまた笑った。揃って頬髯を生やした壮漢たちが、一人の娘をまじめに恐れているらしいので、つい笑わずにはいられなかったのである。

六月中旬の或る日。

竜神川のいつもの場所で、図書助は釣糸を垂れていた。腰掛のうしろにすばらしく大きな唐傘が立ててあり、城代はその日蔭にはいるわけで、現今のビーチ・パラソルと一緒である。半之助はその脇の、川柳の蔭のところで、草の上に腰をおろし、さもいい気持そうにお饒舌りをしていた。

「まったくですね、まったくいつもなにか落し物をしたような顔つきですよ」彼はくすくす笑う。

「――おまけに、私はよく知りませんが、胆石もちというのはあんなものかといった感じです、好人物なんでしょうが、どうも可笑しくっていけない、……あんな消化不良の胆石もちなどが、どうして次席家老を勤めているんですかね、尤もみんなばか揃いで、これはと思うような人間はいませんがね」

図書助は苦い顔をして黙っている。半之助は愉快そうに続けた。

「まったく此処の連中ときたら、どいつもこいつも頭が悪くて近眼で、女のように気が小さくて、……早い話しがこの竜神川です、これがかれらには理解できない、元は堰と云ったものです、