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なんとうをおもいて
南嶋を思いて
新村 出
――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,941 字 · 14 页
(上巻の末)に於て述べたとおり、元の陶宗儀の『書史会要』(巻八外域)に所載の文字について訂正を加えたものらしい事は推定し得る。松下児林は上のいわゆる夷語を単に日本語として、薛〔俊〕氏の『日本寄語』等所録の邦語と、異同表裏は別として、同様に取扱ったが、これは疑問であろう。両方の関係は今は深く論ぜぬが、二者は材料としてこれを区別して置きたいと思う。さて今「夷語音釈」を、よしや嘉靖の初にまで引上げずとも、万暦の初、即ち十六世紀の末期のものとして考えると、これを琉語史料として見る上に於て、興味ある事柄が見出されるのである。
附記。クラプロートは一八一〇年(文化七年)『亜細亜文学歴史言語録事』Archiv f※(ダイエレシス付きU小文字)r Asiatische Literatur, Geschichte und Sprachkunde 巻一に於て「夷語音釈」を示せり。その由少アーデルングの増補本『言語集』(巻四)に見ゆ。
今数語の例を挙げると、「夷語音釈」に波世(星)抛拿(鼻)品其(鬚)とあるを、『伝信録』には夫矢(星)豁納(鼻)非几(鬚)とあるが、前者の波、抛、品みなPであるのに、後者の夫、非はFで豁はHであるのに先ず注意される。