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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页
すぐに参って目付け出し、奈良朝時代の貴女人形買い戻すことにいたしましょう」
「それでは」と民弥も意気込んだ。「妾もお供いたします!」
「おお、そなたも参られるか」
「参りますとも参りますとも! 妾ご一緒に参らなければ、人形を買った古道具買の、人形風俗わかりますまい!」
「これは如何にもご尤も! それでは一緒に!」
「右近丸様!」
「おいでなされ!」
と走り出た。続いて民弥も女ながら、一所懸命の場合である。小褄を取ると嗜の懐刀、懐中へ入れるのも忙しく、後に続いて走り出た。
15
ここは五条の橋である。
今、宵月に照らされて、フラフラ歩いて来る人影がある。古道具買に身をした、香具師の親方の猪右衛門である。両手に人形を持っている。非常に非常に機嫌がよい。独り言を云っている。
「こんなに楽々と苦労もなく、唐寺の謎を持っている。奈良朝時代の貴女人形を、手に入れようとは思わなかったよ。運がよかったというよりも、俺に才智があったからさ。……さて所で人形だが、物を云うということだが、どうしたら物を云うだろう?」
人形の手を引っ張って見た。が、人形は物を云わない。そこで足を引っ張って見た。