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はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

。そして彼女は余り口を利かなかった。獣や鳥の檻の前を、一寸足を止めては先へ先へと通りすぎた。周平と隆吉とは後れがちになった。活動を見ても彼女は別に何とも云わなかった。結末近くになると、人が込まないうちにと早めに立ち上った。帰りに物を食べていくでもなかった。

然し、家に帰りつくと、彼女は菓子や珈琲を出さした。横田をも書斎から呼んできた。見たもののことを面白そうに話した。帰るという周平を引止めて、皆で何かして遊ぼうなどと云い出した。然し周平は疲れきっていた。

「意気地なしね、男のくせに。」と彼女は云った。

周平は自分でも訳の分らない気持になった。そして隆吉の方へ、淋しい心が向いていった。

二十七

周平と隆吉との間は、次第に、教える者と教えられる者とのそれでなくなっていった。隆吉の勉強にあてられてる室で、学課のことはそっちのけにして、ぽつりぽつりと短い会話を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)んだ沈黙のうちに、永い時間を過した。

いつも隆吉の方から口を開いた。そして一週間のことを、重に横田夫婦に関係したことを、周平に語ってきかした。