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はんこう
反抗
豊島 与志雄
「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页
猫は起き上って、胸と足との肉をむしり取られたまま、のそりのそりと歩いていった。
それから、皆は出かけることになった。
石の段を上ると、あたりが真暗だった。曲りくねった坂道が続いていた。その道を歩いていった。皆も一緒だということは分っていながら、真暗なのでその姿は見えなかった。そのうちに、道の両側から幾人もの乞食が出て来た。不思議にその姿ははっきり見えた。皆筋骨の逞しい男だった。半ば裸体で、滑っこい餅肌をしていた。それが、袂を捉え、手首を取り、はては首っ玉にかじりついて来た。どうにも出来なかった。
「石で殴りつけるがいい、」と誰かの声がした。で、両手に大きな石を拾って、それでやたらに殴りつけた。幾つも敷居のようなものを跨いで進んだ。それを一つ越す毎に乞食の群に出逢った。両手の石を振り廻して追っ払った。
書後に、石段があった。それを下りると、鉄のような重々しい扉にぶつかった。扉が少し開いていて、向うに仄かな明るみが見えていた。その扉を出ればもう大丈夫らしかった。
ふと気がつくと、二人の乞食が後からついて来ていた。一人は、顔から肩へかけて一面に怪我をしていた。