轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页
およそ、八九十合も打ち合った頃であった。イランの戦士は満身の力を切先に集め、気合い諸共、巖も砕けろとスーラーブの肩先目がけて截り下した。
四十二
スーラーブは、はっとする間に身を躱し、相手に広い空を切らせた。イランの戦士は力余って、覚えずよろめきかかった。スーラーブは、そのすきに素早く手許に切り込み、見事に太刀を対手の手から薙落(なぎおと)した。
怒濤のような両軍のどよめきの間に、イランの戦士は、「おう!」と呻くと、素手で組もうとかかって来た。スーラーブもからりと太刀をすてた。二人は牡牛のように、がっしり四つに引組んだ。彼は、寧ろこの偶然の機会を悦んだ。相手の体に密着したことで、疑問の面覆いを引剥ぐことも出来るかと思ったのであった。
スーラーブは、どうかして片手だけを自由にし、その目的を達しようとするのだが、イランの戦士も豪の者だ。右に左に揉み合ううち、スーラーブは、だんだん自分の疲労を自覚して来た。太陽は直射せず、微かな西風さえ吹き流れているが、平地では、砂がちの地と草のいきれで、むっとする暑さが澱んでいた。対手の息づかいの荒さは引っ組んだスーラーブの肩に感じられた。