轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふるきミニエチュア
古き小画
宮本 百合子
「小樽新聞」1924(大正13)年1月14日~3月9日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 70,298 字 · 140 页
十七
灯かげのない拱に佇んでいるうちに、スーラーブは、心が星にでも届くように、澄み、確かになって来るのを覚えた。
天から来る微かな光に照されていると、瞳がなれて、一様な闇の裡でも、木の葉の戦ぎまで見えて来るそのように、スーラーブは、混沌とした動揺の中から、次第に、自分の心持、結局の行方をはっきり覚り、考え出した。快い冷気の中に、今夜は特別な魔力が籠っているのか。彼は、今迄自分が苦しみ悩んでいたのは、ただ、とうに解っていたことを、自分の心持だけで判らないものとしていたことに原因しているのを知った。自分が、衷心で何をしたがり、何を望んでいるか、それは自分に解っている。それを遂げるに方法は一つしかないのも実は、ちゃんとわかっていたのだ。妙な臆病、未経験な若い不決断で、後のものが自分に定った運命だと思いきれなかったばかりに、苦しさは限りなく、止めどのない混乱が来たのだ。スーラーブは、幾日ぶりかで、自分の精神が、明らかな力で働き出したのを感じた。どうでも、自分は父に会わなければ、満足しない。どんな方法でも採ろうと思いながら、唯一の道であるイランに行くこと、その行方が侵入という形をとるという考えに怯じて、躊躇していたことが、今、彼に、ありありと解ったのであった。