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こきんしゅうまきのご

古今集巻之五

山本 周五郎

「文藝春秋」文藝春秋新社、1958(昭和33)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,482 字 · 43 页

青空文庫

差出人は左の三人である。

間崎重太夫(寄合役肝入、四十二歳、五百七十石)

河森行之助(小姓組頭、三十三歳、八十石余)

丹野真(留守役、三十二歳、四百三十石余)

河森と丹野はこちらの育ちで、永井はもとより、私たちとも古くから知っていた。永井が江戸へゆくとすぐ、私は手紙で彼のことを二人に頼んだ。それに対して、今月までに河森からは七回、丹野から五回かなり詳しくようすを知らせて来ていた。間崎重太夫どのは永井を預かっている人で、手紙をよこしたのはこんどが初めてであるが、これらはみな好ましくない便りばかりで、しかも、しだいに事情の悪くなることを示していた。

三月の事があったあの朝、私は主計の態度や顔つきが変っていることに気づいた。顔つきも話す調子も、二十年以来よく知っているそれとは違って、まったく見知らぬ人のような、冷たくよそよそしい感じであった。

――こんな出来事のあとだ、人が変ったようにみえるのも当然だろう。

私はそう思ったものであるが、江戸から来る手紙はみな、あのときの主計のようすを再現し、それがしだいに悪化してゆくさまを伝えていた。河森は主計が「怒りっぽく」