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こだいこくごのおんいんについて

古代国語の音韻に就いて 他二篇

橋本 進吉

橋本進吉『古代国語の音韻に就いて 他二篇』。同一底本的分册已合并为一书。收入:古代国語の音韻に就いて、国語音韻の変遷、駒のいななき。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,329 字 · 188 页

青空文庫

また私の考えでは『万葉集』巻十一の、

我背児爾吾恋居者吾屋戸之草佐倍思浦乾来(二四六五番)

の末の句の「浦乾来」を「うらがれにけり」と読んでいるのはどうも不適当と思われるのであって、これは「うらぶれにけり」と読むのが正当と思われます。さすれば「乾」を「ふれ」の仮名に用いているということになります。かように「乾」を「フ」と読んだり「フレ」と読んだりしたとすれば、それは「ヒ」「ヒ」「フ」「フル」「フレ」と活用したもので、すなわち上二段活用の語であったと考えられます。かような考を私は『国語国文』という雑誌の創刊号(昭和六年)に書いたことがありますが、私はこの考えが正しいものと考えているのであります。なお、私が雑誌に書いた時には気が附かなかったのでありますが、その後、宣長翁の『古事記伝』を見ますと、巻十七「塩盈珠塩乾珠」の条に「乾」の活用のことがありまして、「ヒ、フ、フル」と活用する語であると書いてあります。しかしそう読むと、今は余り耳遠いからして「ヒル」と訓んで置くといっているのであります。そうすると、宣長翁も上二段活用であったと考えておられたと思われます。