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どうきょにんかふう

同居人荷風

小西 茂也

「新潮 第四十九卷 第十二號」1952(昭和27)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,026 字 · 17 页

青空文庫

新聞を利用せんとしてあべこべに利用せられしためなり。読売の記事中先生酒二合を闇市に売りに行くという話は、記者の創作ならんも面白し。夜、扶桑書房来る。先生の話はすべて金と女に落つ。

十月廿一日。先生曰く女はその背景を失うと、必ず見すぼらしくなる。芸者を落籍して妾にしてもきまって失望するのはそのため、まして女の着物の世話まで焼くのではこっちはかなわぬ。一家を構えても女中をおけば物を盗まれるし、配給米や薪炭をとりに行くのが面倒、それに税金がかさんでくる云々……先生の最も怖れおる相手は税務署なるべし。

十月廿二日。改造社長山本実彦氏来る。先生不在。余の妻二月ぶりに退院して帰宅、先生開口一番、病気見舞どころか「看護婦に美人はいますか?」と荊妻にきけり。

十月卅一日。筑摩書房より「来訪者」再版検印紙送り来る。先生ひとりこつこつと捺印しおれり。「苦楽」より絵物語に「うでくらべ」を使いたしという。先生は大佛次郎氏が学生時代アンリ・ド・レニエの飜訳を持って訪ね来りたる話をす。

十一月一日。松沢病院患者より先生に養子にしてほしき旨の来信あり。読売紙に養子問題の記事のれればなり。