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どうきょにんかふう

同居人荷風

小西 茂也

「新潮 第四十九卷 第十二號」1952(昭和27)年12月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,026 字 · 17 页

青空文庫

八月十三日。岩波編輯員来りて「文学」の露伴特輯号に執筆を乞いしが先生断る。そう簡単には書けぬ。全部読まねばならぬからと云えり。谷口喜作氏来る。先生谷口氏に曰く露伴が文化勲章を貰ったり博士になったりしたのは一代の不覚、M・Kのような人なら箔がつくかも知れぬが露伴にはかえって勿体なし。露伴の父は江戸城のお茶坊主、あまり立派な家系にてはなきも、ぱっと花が咲くように幸田家兄妹も一時によくなりしと申せり。露伴を書くのに谷崎氏ではと余が問えば、あの人には俳句が解らぬからと云われたり。O家の次男は先生の養子なるが離籍したしと谷口氏に語れり。谷口氏はO家と親交あり。

八月十五日。小瀧君来る。先生との会話に「細雪」の批評が出て、あの筆致はスタンダールを摸したものならんと先生いえり。O家の三代にわたる家族史を小説に書きたきも、自分は一日に三枚しか書けぬ。材料を人にやって書かせたしと申さる。近頃はモーパッサンのような短篇を書きたくて堪らぬとも云わる。

八月十六日。先生夕方安倍弁護士の許へ行けり。養子離縁の訴訟を起さんとてなり。養子の妹が不都合ありし廉による。

八月十七日。