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どうほう

同胞

豊島 与志雄

「中央公論」1924(大正13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,713 字 · 32 页

青空文庫

それを見つめていると、弟というよりも寧ろ兄という感じだった。

でもやっぱり弟なんだ、陰気な弟なんだ……そう恒夫は自ら云って、胸の底が擽ったいような気持を覚えた。と共にまた、自分自身に張りが出来たような気もした。

茂夫はなかなか、姿を見せなければ手紙も寄来さなかった。恒夫は苛ら苛らしてきた。そして丁度一週間目の土曜日に、彼は最後の望みをかけながら、わざわざ友達から一人後れて、学校の門を出て見廻すと、向うの電車停留場の柱の影に、書物を手にして読んでる風を装いながら、こちらを見守ってる少年があった。それが茂夫だった。

二人は眼と眼でうなずき合って電車道を歩き出した。

「僕いろいろ考えてみたけれど、二人っきりなら構わないと思って、やって来たの。」

その調子から様子まで、先日の茂夫とは全く異っていた。恒夫は一寸面喰ったが、そのはずみを受けて心が躍った。

「僕どんなに待ってたか知れないよ。」

「だって僕はいろんなこと考えたんだもの。君がやって来たのは、僕に恥をかかせるためじゃないかしら、というような気もしたし、お母さんに相談してみようか、と思ったり、何か大変悪いことをしてるのじゃないか、と思ってみたり……いろんなことを考えたよ。