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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

と、また紫の紐をひねくる。「ところが大違さ。その御母堂なるものが偉大なる鼻の所有主でね……」迷亭が半ば言い懸けると、主人が「おい君、僕はさっきから、あの鼻について俳体詩を考えているんだがね」と木に竹を接いだような事を云う。隣の室で妻君がくすくす笑い出す。「随分君も呑気だなあ出来たのかい」「少し出来た。第一句がこの顔に鼻祭りと云うのだ」「それから?」「次がこの鼻に神酒供えというのさ」「次の句は?」「まだそれぎりしか出来ておらん」「面白いですな」と寒月君がにやにや笑う。「次へ穴二つ幽かなりと付けちゃどうだ」と迷亭はすぐ出来る。すると寒月が「奥深く毛も見えずはいけますまいか」と各々出鱈目を並べていると、垣根に近く、往来で「今戸焼の狸今戸焼の狸」と四五人わいわい云う声がする。主人も迷亭もちょっと驚ろいて表の方を、垣の隙からすかして見ると「ワハハハハハ」と笑う声がして遠くへ散る足の音がする。「今戸焼の狸というな何だい」と迷亭が不思議そうに主人に聞く。「何だか分らん」と主人が答える。「なかなか振っていますな」と寒月君が批評を加える。迷亭は何を思い出したか急に立ち上って「吾輩は年来美学上の見地からこの鼻について研究した事がございますから、その一斑を披瀝して、御両君の清聴を煩わしたいと思います」