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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

あ、そうそうそれで分らなければ、好い事がある。何でも屋根に草が生えたうちを探して行けば間違っこありませんよ」

「よほど特色のある家ですなアハハハハ」

鈴木君が御光来になる前に帰らないと、少し都合が悪い。談話もこれだけ聞けば大丈夫沢山である。椽の下を伝わって雪隠を西へ廻って築山の陰から往来へ出て、急ぎ足で屋根に草の生えているうちへ帰って来て何喰わぬ顔をして座敷の椽へ廻る。

主人は椽側へ白毛布を敷いて、腹這になって麗かな春日に甲羅を干している。太陽の光線は存外公平なもので屋根にペンペン草の目標のある陋屋でも、金田君の客間のごとく陽気に暖かそうであるが、気の毒な事には毛布だけが春らしくない。製造元では白のつもりで織り出して、唐物屋でも白の気で売り捌いたのみならず、主人も白と云う注文で買って来たのであるが――何しろ十二三年以前の事だから白の時代はとくに通り越してただ今は濃灰色なる変色の時期に遭遇しつつある。この時期を経過して他の暗黒色に化けるまで毛布の命が続くかどうだかは、疑問である。今でもすでに万遍なく擦り切れて、竪横の筋は明かに読まれるくらいだから、毛布と称するのはもはや僭上の沙汰であって、毛の字は省いて単にットとでも申すのが適当である。