轻松读懂日语经典作品
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『わがはいはねこである』じょうへん
吾輩は猫である
一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页
唐桟の半纏に、御納戸の博多の帯を尻の上にむすんで、生白い脛は膝から下むき出しのまま今や片足を挙げて畳の上へ入れる。先刻から赤い本に指を噛まれた夢を見ていた、主人はこの時寝返りを堂と打ちながら「寒月だ」と大きな声を出す。陰士は毛布を落して、出した足を急に引き込ます。障子の影に細長い向脛が二本立ったまま微かに動くのが見える。主人はうーん、むにゃむにゃと云いながら例の赤本を突き飛ばして、黒い腕を皮癬病みのようにぼりぼり掻く。そのあとは静まり返って、枕をはずしたなり寝てしまう。寒月だと云ったのは全く我知らずの寝言と見える。陰士はしばらく椽側に立ったまま室内の動静をうかがっていたが、主人夫婦の熟睡しているのを見済してまた片足を畳の上に入れる。今度は寒月だと云う声も聞えぬ。やがて残る片足も踏み込む。一穂の春灯で豊かに照らされていた六畳の間は、陰士の影に鋭どく二分せられて柳行李の辺から吾輩の頭の上を越えて壁の半ばが真黒になる。振り向いて見ると陰士の顔の影がちょうど壁の高さの三分の二の所に漠然と動いている。好男子も影だけ見ると、八つ頭の化け物のごとくまことに妙な恰好である。