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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

主人夫婦は依然として熟睡している。人間も存外迂濶なものである。

吾輩はまた暫時の休養を要する。のべつに喋舌っていては身体が続かない。ぐっと寝込んで眼が覚めた時は弥生の空が朗らかに晴れ渡って勝手口に主人夫婦が巡査と対談をしている時であった。

「それでは、ここから這入って寝室の方へ廻ったんですな。あなた方は睡眠中で一向気がつかなかったのですな」

「ええ」と主人は少し極りがわるそうである。

「それで盗難に罹ったのは何時頃ですか」と巡査は無理な事を聞く。時間が分るくらいなら何にも盗まれる必要はないのである。それに気が付かぬ主人夫婦はしきりにこの質問に対して相談をしている。

「何時頃かな」

「そうですね」と細君は考える。考えれば分ると思っているらしい。

「あなたは夕べ何時に御休みになったんですか」

「俺の寝たのは御前よりあとだ」

「ええ私しの伏せったのは、あなたより前です」

「眼が覚めたのは何時だったかな」

「七時半でしたろう」

「すると盗賊の這入ったのは、何時頃になるかな」

「なんでも夜なかでしょう」

「夜中は分りきっているが、何時頃かと云うんだ」

「たしかなところはよく考えて見ないと分りませんわ」