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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

「実際馬鹿気ているな」と主人のような超然主義の人でも金銭の観念は普通の人間と異なるところはない。否困窮するだけに人一倍金が欲しいのかも知れない。多々良君は充分実業家の利益を吹聴してもう云う事が無くなったものだから

「奥さん、先生のところへ水島寒月と云う人が来ますか」

「ええ、善くいらっしゃいます」

「どげんな人物ですか」

「大変学問の出来る方だそうです」

「好男子ですか」

「ホホホホ多々良さんくらいなものでしょう」

「そうですか、私くらいなものですか」と多々良君真面目である。

「どうして寒月の名を知っているのかい」と主人が聞く。

「せんだって或る人から頼まれました。そんな事を聞くだけの価値のある人物でしょうか」多々良君は聞かぬ先からすでに寒月以上に構えている。

「君よりよほどえらい男だ」

「そうでございますか、私よりえらいですか」と笑いもせず怒りもせぬ。これが多々良君の特色である。

「近々博士になりますか」

「今論文を書いてるそうだ」

「やっぱり馬鹿ですな。博士論文をかくなんて、もう少し話せる人物かと思ったら」

「相変らず、えらい見識ですね」と細君が笑いながら云う。

「博士になったら、だれとかの娘をやるとかやらんとか云うていましたから、そんな馬鹿があろうか、娘を貰うために博士になるなんて、そんな人物にくれるより僕にくれる方がよほどまし