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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

あまり車夫が猿股をつけて天下の大道を我物顔に横行濶歩するのを憎らしいと思って負けん気の化物が六年間工夫して羽織と云う無用の長物を発明した。すると猿股の勢力は頓に衰えて、羽織全盛の時代となった。八百屋、生薬屋、呉服屋は皆この大発明家の末流である。猿股期、羽織期の後に来るのが袴期である。これは、何だ羽織の癖にと癇癪を起した化物の考案になったもので、昔の武士今の官員などは皆この種属である。かように化物共がわれもわれもと異を衒い新を競って、ついには燕の尾にかたどった畸形まで出現したが、退いてその由来を案ずると、何も無理矢理に、出鱈目に、偶然に、漫然に持ち上がった事実では決してない。皆勝ちたい勝ちたいの勇猛心の凝ってさまざまの新形となったもので、おれは手前じゃないぞと振れてあるく代りに被っているのである。して見るとこの心理からして一大発見が出来る。それはほかでもない。自然は真空を忌むごとく、人間は平等を嫌うと云う事だ。すでに平等を嫌ってやむを得ず衣服を骨肉のごとくかようにつけ纏う今日において、この本質の一部分たる、これ等を打ちやって、元の杢阿弥の公平時代に帰るのは狂人の沙汰である。