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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

主人はこれでも大戦争をしているつもりである。逆上的敏腕を大に振っているつもりである。しかるところ自分の召し使たる当然こっちの肩を持つべきものが、真面目な態度をもって事に臨まんのみか、用を言いつけるのを聞きながらにやにや笑っている。ますます逆上せざるを得ない。

「誰でも構わんから呼んで来いと云うのに、わからんか。校長でも幹事でも教頭でも……」

「あの校長さんを……」下女は校長と云う言葉だけしか知らないのである。

「校長でも、幹事でも教頭でもと云っているのにわからんか」

「誰もおりませんでしたら小使でもよろしゅうございますか」

「馬鹿を云え。小使などに何が分かるものか」

ここに至って下女もやむを得んと心得たものか、「へえ」と云って出て行った。使の主意はやはり飲み込めんのである。小使でも引張って来はせんかと心配していると、あに計らんや例の倫理の先生が表門から乗り込んで来た。平然と座に就くを待ち受けた主人は直ちに談判にとりかかる。

「ただ今邸内にこの者共が乱入致して……」と忠臣蔵のような古風な言葉を使ったが「本当に御校の生徒でしょうか」と少々皮肉に語尾を切った。

倫理の先生は別段驚いた様子もなく、平気で庭前にならんでいる勇士を一通り見廻わした上、もとのごとく瞳を主人の方にかえして、下のごとく答えた。