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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

人のうちへ案内も乞わずにつかつか這入り込むところは迷惑のようだが、人のうちへ這入った以上は書生同様取次を務めるからはなはだ便利である。いくら迷亭でも御客さんには相違ない、その御客さんが玄関へ出張するのに主人たる苦沙弥先生が座敷へ構え込んで動かん法はない。普通の男ならあとから引き続いて出陣すべきはずであるが、そこが苦沙弥先生である。平気に座布団の上へ尻を落ちつけている。但し落ちつけているのと、落ちついているのとは、その趣は大分似ているが、その実質はよほど違う。

玄関へ飛び出した迷亭は何かしきりに弁じていたが、やがて奥の方を向いて「おい御主人ちょっと御足労だが出てくれたまえ。君でなくっちゃ、間に合わない」と大きな声を出す。主人はやむを得ず懐手のままのそりのそりと出てくる。見ると迷亭君は一枚の名刺を握ったまましゃがんで挨拶をしている。すこぶる威厳のない腰つきである。その名刺には警視庁刑事巡査吉田虎蔵とある。虎蔵君と並んで立っているのは二十五六の背の高い、いなせな唐桟ずくめの男である。妙な事にこの男は主人と同じく懐手をしたまま、無言で突立っている。何だか見たような顔だと思ってよくよく観察すると、見たようなどころじゃない。