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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

現在連れ添う細君ですら、あまり珍重しておらんようだから、その他は推して知るべしと云っても大した間違はなかろう。親兄弟に見離され、あかの他人の傾城に、可愛がらりょうはずがない、とある以上は、細君にさえ持てない主人が、世間一般の淑女に気に入るはずがない。何も異性間に不人望な主人をこの際ことさらに暴露する必要もないのだが、本人において存外な考え違をして、全く年廻りのせいで細君に好かれないのだなどと理窟をつけていると、迷の種であるから、自覚の一助にもなろうかと親切心からちょっと申し添えるまでである。

言いつけられた時刻に、時刻がきたと注意しても、先方がその注意を無にする以上は、向をむいてうんさえ発せざる以上は、その曲は夫にあって、妻にあらずと論定したる細君は、遅くなっても知りませんよと云う姿勢で箒とはたきを担いで書斎の方へ行ってしまった。やがてぱたぱた書斎中を叩き散らす音がするのは例によって例のごとき掃除を始めたのである。一体掃除の目的は運動のためか、遊戯のためか、掃除の役目を帯びぬ吾輩の関知するところでないから、知らん顔をしていれば差し支えないようなものの、ここの細君の掃除法のごときに至ってはすこぶる無意義のものと云わざるを得ない。