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『わがはいはねこである』じょうへん

吾輩は猫である

夏目 漱石

一只没有名字的猫,蹲在主人身边看尽人间百态,吐槽起来比人类还犀利。跟着它的眼睛,你会发现这个世界有多荒唐又有趣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 322,123 字 · 643 页

青空文庫

を繰り返しているのでも這裏の消息はよく分る。諸君は冷淡だからと云って、けっして主人のような善人を嫌ってはいけない。冷淡は人間の本来の性質であって、その性質をかくそうと力めないのは正直な人である。もし諸君がかかる際に冷淡以上を望んだら、それこそ人間を買い被ったと云わなければならない。正直ですら払底な世にそれ以上を予期するのは、馬琴の小説から志乃や小文吾が抜けだして、向う三軒両隣へ八犬伝が引き越した時でなくては、あてにならない無理な注文である。主人はまずこのくらいにして、次には茶の間で笑ってる女連に取りかかるが、これは主人の冷淡を一歩向へ跨いで、滑稽の領分に躍り込んで嬉しがっている。この女連には武右衛門君が頭痛に病んでいる艶書事件が、仏陀の福音のごとくありがたく思われる。理由はないただありがたい。強いて解剖すれば武右衛門君が困るのがありがたいのである。諸君女に向って聞いて御覧、「あなたは人が困るのを面白がって笑いますか」と。聞かれた人はこの問を呈出した者を馬鹿と云うだろう、馬鹿と云わなければ、わざとこんな問をかけて淑女の品性を侮辱したと云うだろう。侮辱したと思うのは事実かも知れないが、人の困るのを笑うのも事実である。