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てつがくのげんだいてきいぎ

哲学の現代的意義

戸坂 潤

「唯物論研究 第六〇、六一号」1937(昭和12)年10月、11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,718 字 · 45 页

青空文庫

思想というものが初めて社会的実在性を公認されたのである。之は極めて最近の思想事情であることを忘れてはならぬ。

で次には科学の思想的本質について一言しなければならぬ。科学に就いては科学特有の社会的迷信が存する。自然科学には自然科学特有の、社会科学には社会科学特有の迷信だ。特に、自然科学的迷信は頑強のように見える。自然科学は主として実験による実証に訴える。そこから自然科学は実証であって思想とは無関係であるべきだという結論が導かれ易い。なる程思想や思惑や願望では左右出来ないものが実証だ(数学などならば厳密な推論は観念で左右出来ないと云うべきだろう)。自然法則は人間の思想傾向などからは独立に行なわれる。唯物論という哲学思想は正にそういうことを主張しているのである。だが、すでに実験は一つの理論的想定の上に立って初めて具体的な意味のあることだ。出た結果を解釈するものは理論だ。処がその理論は一定のカテゴリーを使って出来ている。エーテルというカテゴリーを使って吾々はエーテルの存在非存在を実験する。或る干渉波を云い現わす紋波が出るか出ないかで、エーテルの存否を推定し得るとする。