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よいことをしたよろこび
善いことをした喜び
小川 未明
「童話」1921(大正10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,586 字 · 6 页
さよ子は、叔母さんからもらったおあしを大事に、赤い毛糸で編んだ財布の中に入れてしまっておきました。秋のお祭りがきたら、それでなにか好きなものを買おうと思っていました。
もとよりたくさんのお金ではなかったのです。けれど、さよ子はそれを楽しみにして、ときどき机のひきだしの中から、赤い毛糸の財布を取り出しては、振ってみますと、中に銭がたがいに触れ合って、かわいらしい鳴き音をたてるのでありました。
さよ子は、それでほおずきを買おうか、南京玉を買おうか、それともなにかおままんごとの道具を買おうかと、いろいろ空想にふけったのであります。すると、なんとなく、その日が待ち遠しかったのでありました。
まことに、いい天気の日で、のら仕事の忙しかったときでありました。家々のものは、みんな外の圃に出ていて、家にいるものはほとんどありませんでした。
家の前には、大きな銀杏樹がありました。その葉がしだいに色づいてきました。さよ子は壊れかかった石段に腰をかけて、雑誌を読んでいました。そのとき、同じように、隣のおばあさんが、やはり家の前に出て、日当たりのいい暖かな場所にむしろを敷いて、ひなたぼっこをしていました。