轻松读懂日语经典作品
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うそアつかねえ
嘘アつかねえ
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,523 字 · 24 页
浅草の馬道を吉原土堤のほうへいって、つきあたる二丁ばかり手前の右に、山の宿へと続く狭い横丁があった。付近には猿若町とか浅草寺とか新吉原など、遊興歓楽の地が多いので、そのあたりは全般的に活気もあり、家数こそ少ないがかなり繁華でもあった。……しかしその横丁だけはまるで違う。狭いうねくねした道は昼間でも殆んど人通りがないし、両側の家は軒が低く、おそろしく古ぼけて、片方へ傾いだり前へのめりそうになったりして、五六軒ぐらいずつ途切れ途切れに並んでいる。その途切れたところは草の生えた空地だの、塵芥捨て場だの、汚ならしい水溜りだの、家を取壊した跡だの、また気紛れに作りかけたまま放りだしたような畑だのになっていて、ぜんたいがじめじめと暗い、陰気くさい、ひどくうらさびれた眺めであった。
この横丁の馬道からはいった左側の空地に、夜になると「やなぎ屋」という袖行燈を掛けて、煮込みかん酒を売る店が出た。夕方になると六十五六になる爺さんが車屋台を曳いて来て、葭簾で三方を囲い、腰掛けを二つ並べて商売を始める。夜が明けると片づけて、車屋台を曳いて帰ってゆく。どこに住んでいるのか、いつ頃からそこへ店を出しているのか、どんな身の上か、家族があるかないか、すべてわからない。