轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うそアつかねえ

嘘アつかねえ

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1950(昭和25)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,523 字 · 24 页

青空文庫

松が勘定をして出ていった。信吉はそれをぼんやり見ていたが、凍った道で躓きでもしたのだろう、松がぶっ倒れて、なにか喚きたてているのを聞くと、信吉はすぐ戻って来ると云って外へ出た。

「さあ殺せ、野郎、どうともしやアがれ」

松は道の上へ仰向きになって、手を振廻しながら叫びたてていた。信吉は彼を抱き起こしてやり、はだけた半纒を合わせてやり、それから左の腕をこっちの肩へ掛けさせて、一緒によろめきながら歩きだした。彼はいきり立ち、右の腕を頻りに振廻した。

「くそッたれ阿魔め、唯じゃアおかねえ」

それを飽きずに繰り返した。

そんなにも酔っているのか、曲り角を三度も間違えて、山の宿のごみごみしたその一画へゆくまでに、――まっすぐにゆけばひと跨ぎだったが、――殆んど半刻ちかくも時間をとった。凛寒な凍てと、それだけ歩いたためだろう、松は道の四つ辻になった処で、もういいからと別れを告げた。

「今夜は酔ってるんだから、乱暴をしないで温和しく寝るがいいぜ」信吉はそう云った、「――おめえの式もいいが時と場合があるからな、今夜は温和しく寝るんだぜ」

「わかってるよ、おれだって程てエものア知ってらあな、大丈夫だから、……それじゃアまあ、旦那も、……風邪をひかねえようにね、ひどく冷えるから、じゃアひとつ、そこはなにぶん……」