轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とらわれ
囚われ
豊島 与志雄
「早稲田文学」1915(大正4)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,848 字 · 42 页
それでも畢竟は僕の胸と栗の毬とは相容れない別々のものなんです。何れかが壊れなければ……。」
「それでは毬を壊して中だけを抱くだけでしょう。」
「それには僕と妻と全く別々の離れたものにならなくては……。」
「え!」と孝太郎は声を立てた。
二人は黙って顔を見合った。彼等の興奮した頭に不祥な影がちらっと閃き去った。
孝太郎はつくづくと恒雄の顔を見守った。その心持ち下脹れの顔の輪廓と、多少角ばった※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)の筋肉と強い眼の光とを彼は見た。
「一体それでどうなさるおつもりです。」と孝太郎は云った。
恒雄は若い表情をして遠くの方を見つめた。
「やはり僕と富子とは夫婦ですからね。」
孝太郎は何かに冷りとして黙し込んでしまった。彼は顧みて、自分と富子と、それから恒雄との間を思ってみた。そして其処に何か調子外れたような不安を見た。
「もう下らない話は止しましょう。」と暫くして恒雄が云った。彼はきっと唇を結んで、右手の拳でじっと畳の上を押えつけていた。
彼等はそれから何かつまらぬことを暫く話していた。然し妙に冷たい隔りが二人の間にあった。
時が次第に冷やかなものを三人の間に持ち来した。