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しじゅうふわく

四十不惑

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,633 字 · 26 页

青空文庫

「そういうことは私達の自由だと思うんですけれど」

「それじゃ僕の想像通りに理解していゝですか?」

「…………」

「君はあの青年と恋愛に陥っていると」

「…………」

「大切な問題です。罷り間違うと、一生が駄目になります。よく考えて見なければいけない」

「課長さん」

「何だね?」

「私、首になるんでしょうか?」

「そんなことは小問題ですよ。僕は君の親しい友人として君の身の上を心配しているんです。僕の好意が分らないんですか?」

「…………」

「僕を信じてすっかり話して御覧なさい」

「私達の自由のことですから、申上げられません」

それだけにしたが、話はもう分っている。香しいことでない。困ったものだと思って、妻にも話した。

「御覧なさい。この頃の娘さんって凄いものでしょう」

と妻は戒めるように言った。

小柴さんはそれから欠勤した。小柴さんのお父さんという人が会社へ訪ねて来た。娘のふしだらを詫びに来たのかと思ったら、

「課長さん、驚きましたよ」

といきなり言うのだった。

「安心して御監督を願っている娘に愛人が出来ているんです。課長さん、それでお願いに上りました。青年は元来あなたが紹介して下すったのです。