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あかげっと しなあちこち

国枝史郎歴史小説傑作選

国枝 史郎

国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页

青空文庫

と号令を下すのだ「一通り大連を見せてやろう」と云うのだ。そこで僕達夫妻はホテルを飛び出し自動車の客になった「大連を俯瞰しよう」というので遊覧道路をることにした。道々いろいろのものを見た。中央公園を見た。一名虎公園というそうだ。日露戦争の際惨酷なる露国官憲がわが忠勇なる女性の軍事探偵を虎の檻へ入れて夫の餌食にしたことがあり、その場所が此処なので、虎公園の名があるのだそうだ。義憤の念を禁じ得ないではないか。公会堂をも見た。この公会堂に於て故伊藤博文公が、ハルビン駅頭で鮮人に暗殺される三日前、盛大極まる歓迎宴が開かれたことがあるそうだ。人生朝露、感慨深いものを感じた。その公会堂は、中華民国の建築様式を多分に取り入れたもので、租借地に存在する建物としては洵に好感の持てるものであった。

僕は南支を巡遊した時に――そうだ僕はこの大連へ来る前に杭州蘇州、南京を見たのだよ――で、その時、わけても杭州の西湖に於て楊柳の花が、雪か綿か羽毛かの如くに白く飛んで散乱し、行人の衣にかかり、路傍に薄く積もり、菜館、飯店の卓に迄舞いかかる何んとも云われない詩的にして清麗の趣きを見て、涙さしぐむていの愛着と詩情とを得、唐代の諸詩人いやいや支那一切の諸詩人がその詩の中に、夥だしい迄に楊花を詠った理由を知ったが、北支へ来て青島(大連へ来る