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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页
ところが数日経った時、小林さんから手紙が来た。見ると、逢いたいから来訪するようにとのことであって、ご丁寧にも阪神電車の切符が同封してあった。
そこで僕はお訪ねした。
「ねえ国枝君、松竹を出るのは考えものだよ、松竹は今でも大したものだが、将来はもっと大したものになるのだから、わがままを起こさずに辛棒したらどうかね」
――これが小林さんの言葉でつまり小林さんは大多忙の時間を僕のために裂いて、わざわざ僕を訓められたのであった。
小林さんは、それから、じゅんじゅんと訓められた。
僕はポカンとして聞いていた。そうして、小林さんの話の切れた時、
「私は昨日松竹の方はやめて了ったんですがねえ」
と云った。
その通りだったからである。
小林さんは、これには呆れ返ったらしかった。
でも、怒りもしないで、
「そうかね、やめて了ったのかね。それじゃア浪人だね。では、東京へ行った方がいいね。大阪は、浪人に住み心地のよい所では無いのだから――そこへ行くと東京は、浪人の掃溜めのようなもので、大臣の古手なんかウザウザいるからね」
と云われた。
その小林さんもとうとう大臣になられた。