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あかげっと しなあちこち
国枝史郎歴史小説傑作選
国枝 史郎
国枝史郎『国枝史郎歴史小説傑作選』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤げっと 支那あちこち、印度の詩人、今昔茶話、支那の思出、世界の裏、全体主義、独逸の範とすべき点、日本上古の硬外交、秀吉・家康二英雄の対南洋外交、ヒトラーの健全性、ローマ法王と外交。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,334 字 · 121 页
の王に逢い、楚国の得点をもち上げたり、欠点を突いたりして、かくかくの楚国であるから、とても一国だけでは国家を保つことが出来ませんから、他の国々と同盟したらよいでしょう、と、説くのであった。この二人にとっては、個々の人間の道徳問題など問題でなく、国そのものの富強その他物質的方面のみが問題だったのである。
だから、各国の王にはわかりよく、一時的ではあったが、その説は行われ、その策は具体化し、本人たちは宰相となり、父母兄弟、妻君、アニヨメ等に威張ることが出来たのである。
これに反して、孔子や孟子などは、個々の人間が、ほんとうの人間にならなければ、天下国家は治まらないなどと、あんまり本当のことを説いたため、一生貧乏をして、時には餓死しようとした。
さて、ところがである。蘇と張との二人が出て、その縦横の説(後世の人は、二人の説を縦横の説と呼んだ)を振い、六国をして、合従させたり連衡させたりしたため、六国は奔命につかれ、互いに疑い合い、とうとう秦のために、次々に亡ぼされて了った。
六国を亡ぼしたのは、秦では無くて、成上がり者の、法螺吹きの、便乗家の、口舌の雄ばかりで真理の把持者で無い蘇秦と張儀という縦横家だったのである。