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こくみんがっこうへのかてい

国民学校への過程

宮本 百合子

「オール女性」1941(昭和16)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,272 字 · 5 页

青空文庫

その母親たちの痛切な希願の何割が、八年制の国民学校になったために達成されるであろうかと考えられる。学校へ行ける子と行けない子の人生への心持の開きが大きくなるようだと、そこにはやはり問題があると思えるのである。

国民学校での教育方針も様々に考慮されているようである。国史のようなものがこれ迄より重視されることも意味はあるだろうけれども、数学・理科をより軽く見る傾きが極端になれば、それは過ぎたるは及ばずにもなる。年限の永さが教育の実質の高さを直接に証明するものでないことを常識は知りぬいていると思う。知育偏重排撃という流行的傾向があって、昨今その流行に乗じて語る人々は科学の精神がおのずから本来そなえている倫理性を理解していない場合が多すぎる印象である。もし数理の観念と打算性と結びつけてしか考えられないとしたら、それはそれ等の人々の恥辱を語るものであろう。

中学や高校生の質が急に低下して来ていることを、明日の日本のために慶賀する人が果してあるだろうか。形式にしばられれば、徳育も一つの頽廃であることは明らかだと思う。

小学校の先生の不足はこの二三年来到るところで云われている。