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こくさいさつじんだんのほうかい
国際殺人団の崩壊
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,767 字 · 31 页
それにしてもこれが陰謀だとすると、どんな方面からのものだと考えているかね、君は」
「私は、こう思っています」と松ヶ谷学士は瞳を輝かして言った。「どうやら、これは変態的な性格を持った化学者の悪戯だろうと思うのですが。それは鉄道省の場合の外は、爆弾、バクテリア、それから毒瓦斯という風に、いずれも化学者に縁のあるものばかりが、殺人手段に使われていることです。それから犯人は学界の事情によく通じているとみえて、幹部の出席する会合ばかりを覘っています。先生も、どうか会合へは今後一切御出席なさらぬ様にねがいます」
「君は、犯人の心当りでもあるのかね」
「無いわけでもありませんが、申しあげません」
「僕には言えないというのかね」
「言うのを控えた方がよいでしょう。それにまだ明瞭な証拠を握ったわけでもありませんから……」
「君は椋島技師のことを指して言っているのじゃないだろうな」博士は、はじめて立ち止ると、帽子や外套を脱ぎながら言葉をつぎ足した。
「……」松ヶ谷学士は、椋島技師の白皙長身で、いつも美しいセンターから分けた頭髪を目の前に浮べた。
「椋島君なら、僕が保証をするよ。あれはすこし妙な男ではあるが、そんな勇敢な仕事の出来るほどの人物じゃない。