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とさのくにばしら

土佐の国柱

山本 周五郎

「読物文庫」1940(昭和15)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,375 字 · 35 页

青空文庫

田中孫作、西崎玄蕃、五藤靱負などの人たちは最も硬論で、

「刑罰を明かにするいい機会だ。お代替りを幸い律を改め、威を厳にして領民の心を帰服させなければならぬ。このためには斬罪にして諸民へのみせしめとするが宜い」

ということを主張した。

議論は殆ど列座一致するところであったが、そのなかで独り頑として承知しない者があった。高閑斧兵衛である。

「拙者の意見は違います」

と彼は座の真中へ進んで云った。

「大通院さまは御生前、刑罰は重からざれと、熟く熟く仰せられてござる。第一に……領民の心服せざる理由は、長曽我部氏の遺徳を慕うあまりのことであって、申してみれば我等に長曽我部ほどの徳がないとも云える」

「聞き捨てのならぬ言を云う。貴公はお家の禄を食みながら、土民に加担して御政治向きを誹謗される気か」

「言葉咎めは措かれい。拙者は老年の我儘者でござる。大通院さまより、斧兵衛には我儘勝手たれと御遺言のお許しがござる」

「貴公は御遺言を盾にとって、横車を押すか」

田中孫作は怒気を発して、「さらば孫作など、なにを申上げるにも及ぶまい。退座しょう」

そう云って、席を蹴って去った。

五藤靱負も、西崎玄蕃もそれに続いた。