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ちじょう

地上

島田 清次郎

地に潜むもの

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 175,250 字 · 350 页

青空文庫

灰小屋の中で灰に塗れて「焼け焦げの乾鰮」のようになって、この哀れな叛逆者は、三日三晩叫び続けて死んでしまった。

村の人達は相変らず黒く湿った土を耕すために薄暗いうちから野へ出て、堅い土を耕し、田植の賑やかな忙しさを送ればすぐに水廻りや、草※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)りや、虫送りを迎え、さて秋の激烈な取り入れという風に、一年を通じて日の出から日の入りまでの労働に骨身を惜まなかった。彼等が死なないのが不思議な位であった。彼等は頑強らしく見えたが、それは太陽の直射と荒い風のためにそう見えるので、その実、瘠せ衰えて病気に罹りやすい抵抗力の弱い身体をもてあまさねばならなかった。苦痛を逃れられないものとする宿命観と暗夜の泥塗れの淫蕩、そうして貧乏。しかしそれは大川村の人達のことであった。北野家には幸福と平和のみがあるべきであった。

お光は二十の夏まで不幸、真に人生の不幸というものを知らずに生きて来ていた。しかし遂に彼女をして涙の味わいを知らしめる時が来た。それは忘れもしないお光が二十の夏、日本の年号でいえば明治二十五年の七月のことであった。

その日は朝からじり/\焼け爛れそうな日であった。