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じごくかいどう

地獄街道

海野 十三

「モダン日本」1933(昭和8)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,814 字 · 22 页

青空文庫

「うん。ところがアレを見給え」と辻永は窓から半身を乗り出して頭上を指した。「あすこのところに腕金が門のような形になって突き出ているのだ。あの吊り籠が石炭だけを積んでいたのでは、苦もなくあの下をくぐることが出来るが、もし長い人間の身体が載っていたとしたら、あの腕金に閊えて忽ち下へ墜ちてくるだろう」

「なるほど、そうなっているネ」と私はいよいよ友人の炯眼に駭かされた。

「しかしもう一つ考えなければならぬ条件は、吊り籠に載っていた人間は気を失っていたということだ」

「ほほう」

「気が確かならば、オメオメこんな上まで搬ばれて来るわけはないし、若し身体が縛りつけられてあったとしたら、下へは墜ちることが出来なかろう。さア、とにかくあのケーブルが怪しいとなると、吊り籠の先生、どこから人間の身体を積んできたかという問題だ。下へ降りて石炭貯蔵場まで行ってみようよ」

3

下へ降りてみるとなるほど石炭の山の中を、吊り籠が通る度ごとに、籠一杯の石炭を詰めこんで、上に昇ってゆく。辻永は石炭庫の周りをしきりに探していたが、

「いいものを見付けたぞ」と辻永はいよいよ元気になった。